Jim O’Rourke

ジムオルークを知ったのは、大友良英がカバーしている「ユリイカ」を通してだ。
そもそも大友良英を初めて聞いたのは、3.11後福島コンサートのユーチューブ映像だ。坂本龍一も出演している大掛かりなライブ。大友のギター一本のノイズには衝撃を受けた。どんな歌も3.11の事態、人々の体験にはそぐわなく思っていた。しかし大友のとどろかせる悲鳴のようなノイズはそのまま鎮魂にあふれ聞いていてこみ上げた。
若いころ、ナイスのカレリア組曲でエマーソンがオルガン(シンセサイザー以前)をハウリングさせて電気ノイズを発する場面が最高に好きだったし、ジミヘンならウッドストックの星条旗よ永遠なれがいちばんよかった。そういう自分の嗜好を、音楽的素養のないむしろ引け目と感じていたのだが、大友のユーチューブ映像を漁る中でようやく自身で肯定できたのだ。


同時に、能楽の囃子に魅せられていった。特に甲高い鼓のカン!という乾いた響きにはうっとりとする。それは楽器というより「物音」に近く、むしろ風や雨など自然の音を抽象的に象徴に高めた音に思えた。さらに、囃子そのもの。ほおー、いやー、ほっ、はっ、その声の迫力。物語、その場面に合わせ、驚きや静寂や恐怖や衝突、焦りや嫉妬、妄執、怒り、賛美、神それらを「声」で表現し盛り上げ、描写し、支える。
https://www.youtube.com/watch?v=5Lyi4zjay_c
五線譜の音楽はそれはそれでいいもの。しかし、その前に、五線譜以前の音の楽を故郷のように憩う。
だからノイズにそのまま通じる。
ノイズミュージックばかり聞いていると、ジャニスジョプリンのブルースやロックもノイズの一種に聞こえてくる。ビョークも。
そして、ジムオルーク。
カヒミカリイを配したものや様々な大友のユリイカもいいが、やはりジムオルークのユリイカは名曲と思う。

それにしても、ジムオルークは面白い。
これは若いジムオルーク。
ソニックユースを仕切っている。

日本好きというが、このアルバムジャケットには仰天した。

そして、若松孝二の大ファンだという。レンタルビデオ草創期、探しだして「天使の恍惚」や「東京戦争戦後秘話」などいろいろ観たが、え?としか思わなかった。ジムオルーク変わってる。そして「実録連合赤軍」の音楽担当(笑)。役所広司の「突撃せよあさま山荘事件」ではない。ぶれない。

で、ユーチューブだと、演歌教室で生徒になる映像や田舎プロレスラーにプレゼンしてもらう映像など出てくる。面白すぎ。

そして、音楽。いい。ますますかっこいい。カーディガンの袖口がぼろぼろなのが素敵です。演奏メンバーも実にいい。

飽きないな。