文学の醍醐味 ~ 6/9 文学フリマ岩手!
来週の日曜、盛岡に行く。文学フリマに出店するのだ。文学フリマとはつまり文学フリーマーケット、僕も初めて参加するので実はよく分かっていない。コミケの文学版なのかな、という程度だ。しかし作者が自ら自分の作品を販売するというスタイルにはとても心躍るものがある。おそらく若い方々の中に一人ジジイが混じることになるのかと思うのだが、かまやしない。本当は町の賑やかな交差点や人混み行き交う駅前で自作を売ったり配ったりしたいくらいだ。
それは僕にとって原風景だ。大人になってからは円山公園や四条河原町でビラをまいたりしたが、そのルーツはクラスの友人らに手製のガリ版冊子を売りつけてまわった17歳にさかのぼる。あのときまったく思いもかけず、人を言葉で感動させるという体験したせいでここまで来たのだ。あのときのN裕美さんもK琴美さんもこの空の下のどこかでもう婆さんになってるだろうが、あのときの彼女らの言葉や目の輝きのせいで僕がこんなことになっているとは思ってもみないだろう。
ともかく蓋を開けてみないとわからない。文学フリマは全国で数ヶ月おきに開催されている。6月の盛岡の次は9月の大阪ももう出店を申し込み済みである。こうなれば全国行脚してみたい。情けなく恥ずかしい結果に終わるかもしれないが、文学はそもそも恥ずかしいことだ。大声上げて人に話せるもんじゃない。そう思ってる。だからこそ、内心楽しみなのだ。
かつて百年前、気鋭のアナキスト詩人たちは車で東京の町に繰り出し、自作の詩をばら撒いて走ってまわった。彼らも自身満々に見えて実は恥ずかしくそして怖かったのだと僕は信じる。この怖さが書くということだ。自分を晒すひりひりとした痛み。文学の醍醐味だ。