「マクベス」

確かに「期待外れ」でした。独白など語りも少なく、シェークスピア劇の過剰なほどの言葉世界の勉強にもならなかったのが不満です。
ただいろいろ分かりました。見ていて冷めて白けたのは、エキサイティングでリアルな映像場面。また人物の感情がむき出しに表される場面。要は、現代の感性で具象的に描かれると一気につまらなくなる。死生観であるとか忠誠の概念とか、現代とは決定的に異なるはずなのに、現代の側からそれを具象的に描くと、抽象的寓話的な物語の深淵神秘性が消え果てて、スカスカになる。
時代を超える普遍性が消えて、浅いサスペンスになってしまう。そんな感じ。できるだけ全体抑制気味なので、特に場面の現代風なリアルさに白けっちまいました。
森の魔女も古典の鬼のように実在感が当時はあったと思うので、魔女そのものの実在感ではなく、魔女は実在すると一般的に感じている空気感を伝えるのは、淡々と叙事的な描き方の方が伝わるように思う。

なぜか帰ってからオーソンウェルズの古い「マクベス」をまた見てしまいました。