「君の名は。」
君の名は。見ました。
素晴らしかった。
キーは「忘れ去ってしまう悲しみ」「どうしてもはっきりと思い出すことができない何か」「その名前」
劇中繰り返される言葉、「忘れたくないこと、忘れてはならないこと、忘れるべきではないこと」
魂の深層を揺さぶる。
「天国から来たチャンピオン」のラストシーンのあの感じを、ここまで深めた。
この霊的な感覚はこれまで何百年も続いた物語の歴史ではなかったものかもしれない。ほんのここ10年20年のものではないか。大げさに言えば新しい文化文明とも思える。
私たちは生まれた瞬間に魂の記憶を失う。
何もわからないまま手探りで懸命に生きる。
それでもかすかな、ほんのかすかな心の奥の疼き。
映画館は中高生でいっぱいだった。
彼らは魂揺さぶられているのだ。
誰もが涙浮かべていた。
そして新海誠の描く日常風景自然の圧倒的美しさ。
新海の長編第1作「ほしのなまえ」は、当時講師をしていた中学の授業で全編を流した。
当時は、photoshopやaftereffectの潜在的な力という風に雑誌でも解説が特集されていたが、あれはソフトではなく新海の力だったのだ。
原作脚本から作画、映像制作編集までを一人で行い、当初は声優まで自分や友人で行っていたその制作スタイルに驚きつつも憧れたが、あれも今となっては誰も真似ることのできない新海という作家の恐るべき才能の放出だったのだと、分かる。
他の作品も見たい。