pixar-「リメンバーミー」(2018)
異世界に迷い込み、成長課題を果たして帰還する、これは「千と千尋–」ではないか、と最初思った。
面白かった。ここまでアメリカが「ファミリー」に執着するのは、最後の寄る辺としての価値を「血筋」に求めるという「結論」と、逆説的に家族の崩壊が深刻に進行してしまっているパラレルなのか、ということを思った。
最後に残る究極の砦でありシェルターは家族なのだというメッセージに同意するかどうかはどうでも良い。そうではなくて、「最後に残る究極の紐帯は血である」と信じる者を描いた物語と観ればよいだけである。
そして今回その「ファミリー」への視点が、生者から死者への「思い」つまり「死者を想う」という側面からのものだったことはきちんと注目したい。それを「先祖」と言ってしまえばそうなんだけど、空疎な先祖供養とかの形式的因習を超えた、リアルな死者との交感体験世界を描いていると観たい。
その意味でリアルな実在としても死後の世界が、生者が忘れてその人を意識しなくなったときに二度目の死として消えて行く、という設定はとても面白い。主観が客観世界を成立せしめているのだ。やはり映画作家は預言的だと感嘆する。(もちろんここで言う「預言」とは未来予知ではなく、見えない神の言葉を伝えるという意味)
あと、CGの凄さを特に思った。
水しぶきや水を吸ったジャージの光や重さ、あと落ち方弾み方で材質まで伝える。凄い時代なんだなと思う。
ああ、映画作れたらな!ひたすら思った。
描いたストーリーを絵コンテにして必死になってshadeでモデリングしては、べらぼうな時間かけてレンダリングしていた。自分で幕末物の3Dアニメを作ろうとしたのだが、2001年頃だからもう17年も前か。映画見ていて、あのときの気持ちが唐突に蘇ってしょうがなかった。