バスター・キートン – セブンチャンス / オーソン・ウェルズ – 第三の男

キートン「セブンチャンス」
今まで見たキートンの中でいちばん面白く引き込まれた。とにかく走る走る。転げては走る。それを追いかける花嫁候補の大群衆。面白かった。
キートンは「The Great Stone Face(偉大なる無表情)」。そのままに表情を変えない。チビであることがネタにも登場するし、間抜けな一途男という役どころ。
観衆が安心して大笑いできるのはそのように「持っていない」男だからだろう。チャップリンは顔が大きくキートンよりバランスが悪く、そもそも浮浪者(今でいえばホームレスになるか)が決まり役だ。チャップリンを思えばキートンの魅力が際立つし、キートンを思えばチャップリンの大きさが分かる。サイレントの三大喜劇王、もう一人のロイドをまだ見たことがない。そのうちに機会もあるだろう。楽しみ。

▼ キートンのスタントシーン(もちろん本人)

「第三の男」
キャロルリード監督。「第三の男」といえば、あの音楽と暗闇の中のオーソンウェルズの横顔のスチールが思い浮かぶ。名画と言われるので見てみたかった。感想は、あまりピンとこなかった。フィルムノワールにしては音楽が軽妙だし、ウェルズはどこか茫洋としている。主人公、どこかでみたことあると思ったら、「ガス燈」でイングリッドバーグマンを助け出す探偵。この二枚目ぶりもフィルムノワールぽくない。とはいえ、映画の教科書とまで言われる歴史的評価は定まっている。よくわからないな。
ところで原作はグレアムグリーン。小説ではハッピーエンドらしい。