ベルトリッチ「暗殺の森」
カラー映画は軽すぎて観る気が失せる。だが、やはりヨーロッパ映画は色が深く、カラーでも空虚ではない。
とても面白かった。
時間系が交錯するので、物語をつかむまではただただ映像場面を受け止めるだけだ。それなのに画面に飽きない。知らずいつの間にかカメラの美しさに魅入られてしまっているせいだ。それほどに場面場面のレイアウトやデザインが極上なのである。
だけではない。ファシストとアンチファシストの描き方もいいところを突いている。事象すべてに冷めた距離を置いている。
ベルトリッチはこのあと「ラストタンゴインパリ」を撮る。また久しぶりに観てみたいが、こちらの方がよいと思った。
ところで「圧殺の森」は「暗殺の森」からタイトルを剽窃したのだと思っていたが、日本公開はずっと後だ。違ったのか。